フェルマーの最終定理

【内容】
17世紀、ひとりの数学者が謎に満ちた言葉を残した。「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」以 後、あまりにも有名になったこの数学界最大の超難問「フェルマーの最終定理」への挑戦が始まったが――。天才数学者ワイルズの完全証明に至る波乱のドラマ を軸に、3世紀に及ぶ数学者たちの苦闘を描く、感動の数学ノンフィクション!(Amazon.co.jpより)

【感想】
めちゃくちゃ面白かった!!!
数学がいかに美しいか、そしてどのようにして数学者たちが発展させてきたかが映像を見るかのごとく鮮やかに頭の中に広がります。
バイリンガルニュースでマミさんが面白かったと言っていたので気になっていた所、ちょうど図書カードをいただいたので文庫を買って読んでみたら、予想以上の面白さでした。

アンドリュー・ワイルズがどのようにしてフェルマーの最終定理を証明するに至ったかというだけでなく、ピュタゴラスの時代のことから、フェルマーのこと、色々な時代の個性的な数学者たちとその奮闘ぶりにも触れられており、退屈に感じる暇もありませんでした。

数学が苦手でも、ぐいぐい読ませる作者の文章力が素晴らしい。何のためにどういうことをしたのかということが非常に分かりやすく書いてあるので、たとえ数学的に公式などが理解できなくても、読んでいて嫌になるどころか興味が出てくる程です。これは翻訳者の日本語も素晴らしかったと思います。

ちなみに作者のサイモン・シンさんはケンブリッジ大学の大学院で素粒子物理学の博士号を取ったのちにBBCに就職し、そこでアンドリュー・ワイルズのフェルマーの最終定理の証明についてのTV番組を制作して、それをもとにこの作品を書くことになったようです。翻訳者の青木薫さんも京大で理学博士を取っておられるということで、この分かりやすい訳文についても納得です。この内容をここまで分かりやすく文章で伝えることは、内容を深く理解できていないと不可能だと思います。ほんとすごい。

フェルマーの最終定理の証明のために日本人数学者の功績も深く関わっています。世の中にはアジア人の活躍について平等な扱いがしてもらえない書籍もある中、本書では谷山志村予想を出した谷山豊、志村五郎の両氏について非常に丁寧に書かれているのが印象的でした。ただ単に谷山−志村予想について触れられているのではなく、この二人がどのようにしてこの予想を打ち出したのか、当時の時代背景から谷山さんの悲劇の死までもが詳しく書かれていて、その過程は壮絶とも呼べるものだと思います。
そして、女性差別に負けずに数学を学び続けた女性研究者たち、彼女たちを助けた人々について書かれていた箇所も印象的でした。
このような点からも、このサイモン・シンという作家の公平で客観的な視点が分かります。
この二点についてはあとがきで訳者の青木薫さんも私が感じたことと同じことを書いておられました。日本人、そして理系で研究に取り組んできた女性にとってこの二点は特に胸を打つものがあるのではないでしょうか。

数学モノのノンフィクションでここまで興奮し、感動するとは思いませんでした。
この作者の他の作品も面白そうなので今度は原書で読んでみようと思います。洋書50冊チャレンジもあるし…。
今回は日本語で読んだものの、図や式を何度も見直してどういうことを言っているのかを考えたりしていつもよりも時間がかかりました。数式や専門用語なんて全く理解できなさそうなので、原書で読むにしてもオーディオブックはやめておこうとおもいます(ヽ´ω`)、

最近はKindleでの読書に慣れてしまっているので、文庫の字は細かくて暗いところでは読みにくいし、ハイライトもさっと入れらないし、ながら読書もやりにくかったですが、ソファでだらしない姿勢で歯を磨きながら読むのではなく「明るいところで良い姿勢で読書に集中する」という意味では良かったかもしれません。


ぜひ英語でどうぞ(・ω<)

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