2024年3月に読んだ本 14冊 (オーディオブック含む)
・「紅蓮館の殺人」阿津川辰海 ★3
・「砂の女」安部公房 ★5
・「この世の喜びよ」井戸川 射子 ★2
・「本のエンドロール」 安藤祐介 ★5
・「此の世の果ての殺人」荒木あかね ★3
・「ファーストラヴ」島本理生 ★4
・「銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2」中山七里 ★3
・「変な家」雨穴 ★3
・「京都寺町三条のホームズ5」 望月麻衣 ★3
・「シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱」 高殿円 ★3
・「転がる検事に苔むさず」 直島翔 ★4
・「板上に咲く」 原田マハ ★4
・「アルモニカ・ディアボリカ」 皆川博子 ★5
・「ラブカは静かに弓を持つ」 安壇美緒 ★4
上記の中からどれか一冊おすすめするとしたら「本のエンドロール」です。
以下、簡単な感想ですが突然ネタバレすることもあるので注意してください。
・「紅蓮館の殺人」阿津川辰海
続編が小島監督のおすすめだったので。探偵モノの青春ミステリーという感じ。探偵とは職業ではなく生き方だと言っている箇所があったように、探偵とはどうあるべきかという議論が多かった。一人称が「俺」の女性探偵が苦手なので評価を下げてしまっているかも。
・「砂の女」安部公房
小島監督のおすすめで。読み進めるほどに砂の中に自分も埋まってしまうような不思議な感覚になった。緻密に組み立てられているストーリーに引き込まれながらも、男の気力が失われていくにつれて私の力も抜けていくような何ともいえない読後感。ラジオをローンで買うような時代だったのかと驚いた。
・「この世の喜びよ」井戸川 射子
芥川賞受賞作だったので。物語としてまったく入り込めなかったけれど、芥川賞は文章を味わう賞なのだ…と言い聞かせながら何とか読了。ストーリーの面白さだけで作品の評価をすべきではないということをどこかで読んだばかりだったが、やはりストーリーの面白さで評価してしまった。私が理解できていない良さがきっとあるはず。
・「本のエンドロール」 安藤祐介
ネットか新聞かで紹介されていたので。本作りというと作家と編集だけが注目されがちだが、印刷や製本の世界を舞台にした作品。ただ印刷と言っても、表紙カバー、本体の印刷があり、営業やデザイン、実際の作業をする職人さんなど多くの人々が関わっており、印刷の後には製本の会社でまた多くの人々が関わる。普通の作品の奥付には作者や出版社、そして印刷会社だけしか記載されていないが、この本には奥付の前のページに見開きで印刷会社や製本会社で関わった方の名前がびっしり載っており、まさに映画のエンドロールのようで圧倒された。
・「此の世の果ての殺人」荒木あかね
江戸川乱歩賞受賞作だったので。小惑星がもうすぐ日本に衝突するというパニック状態の中で起こる殺人事件を解決する話。ミステリーとしてはシンプルな感じ。残念ながら登場人物の誰ひとり感情移入できなかったが、最年少受賞作ということもあり、作品全体からフレッシュなオーラが出ていて好感が持てた。
・「ファーストラヴ」島本理生
直木賞受賞作だったので。タイトルから恋愛小説を思わせるが全く違い、過去の出来事が原因で心に闇を抱えている人たちの人間ドラマだった。性被害が与える影響の大きさについて思い知らされる。主人公の夫の我聞がとんでもなく良い人だった。
・「銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2」中山七里
ちょっとストーリーには食傷気味だけど岬洋介が出てきた時にはテンションが上がった。悪どい弁護士呼ばわりされているのはきっと御子柴かな。玄太郎が何度も「自分は普通の死に方はできない」と言うので、その度に心が痛んだ。
・「変な家」雨穴
映画化されていたので。映画はホラーっぽい感じだったけど、原作はミステリー小説。ストーリーがやや強引な感じもしたが、間取り図を見ながら考えるのは面白かった。
・「京都寺町三条のホームズ5」 望月麻衣
友人が20巻まで貸してくれたので1冊ずつ地道に…。
はよ付き合えよ…という感情しかなかったので、やっと二人がくっついてホッとした。
・「シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱」 高殿円
シリーズ第3巻が1月に出て話題になっていたので。特にホームズに思い入れもないので、軽いミステリーとして読んだが、ホームズファンの人たちは「女性化現代版ホームズ・パスティーシュ」と言われるこの作品をどのように受け止めているのかは気になった。
・「転がる検事に苔むさず」 直島翔
主人公の久我は現在置かれている状況も気にせずに飄々としているように見えるが、正義を貫く姿が良かった。同僚とのやり取りも良いし、その同僚と良い雰囲気になりそうな巡査とも安易にくっつかないストーリーも好感が持てた。検事ってこんなに現場に出て捜査したりするものなのかな。
・「板上に咲く」 原田マハ
Audible先行だったのでオーディオブックで。方言もしっかり読まれていたので、方言に気をとられてしまった感が否めず。芸術家の妻って大変。
・「アルモニカ・ディアボリカ」 皆川博子
1巻が面白かったので。今回は全盲の判事がメインとなるストーリー。ナイジェルの過去も分かったのは良かったが、前回のように「実は…」という展開ではなくて残念…。エドも戻ってくればよいのに。
・「ラブカは静かに弓を持つ」 安壇美緒
2023年本屋大賞2位だったので。ヤマハ音楽教室での楽曲使用について調査するためにJASRACの職員が生徒として潜入していた実話を元にしたフィクション作品。途中からバレやしないかと胃が痛くなった。オーディオブックは役ごとに声優さんを当てて、集英社の気合の入り具合を感じた。主要キャラが斉藤壮馬&伊東健人というだけで豪華。文字で読んでいたら評価が変わったかもと思いつつも、オーディオブックはとても面白かった。伊東健人の声が好きなので、浅葉が怒鳴るシーンが非常に良かった。