【読書記録】2024年1月

2024年1月に読んだ本 14冊 

・「可燃物」米澤穂信 ★3
・「開かせていただき光栄です」皆川博子 ★5
・「月の立つ林で」青山美智子 ★4
・「タイム・リープ」 上下 高畑京一郎 ★3
・「罪と祈り」貫井徳郎 ★3
・「チョウセンアサガオの咲く夏」柚月裕子★3
・「夏物語」川上未映子 ★5
・「焔と雪 京都探偵物語」伊吹亜門★4
・「有隣堂が作るYouTubeの世界」★4
・「誰か」宮部みゆき ★4
・「まいまいつぶろ」村上嵐 ★4
・「Survivor」Chuck Palahniuk ★3
・「Shōgun」James Clavell ★3

1冊ずつ感想を書いていたら映画の時と同様にとんでもなく時間がかかったので、とりあえず更新を止めないためにまとめて記録しておきます。

どれか1冊おすすめして!と言われたら、「開かせていただき光栄です」をおすすめします。

以下、簡単な感想ですがネタバレを含んでいます。

・「可燃物」米澤穂信 こちらの記事

・「開かせていただき光栄です」皆川博子 こちらの記事

・「月の立つ林で」青山美智子
本屋大賞2位だったので読みました。上手くいかない日常に悩んでいる5人それぞれが主役の連作短編集。その5人は、タケトリ・オキナという人物が月にまつわる話をしているポッドキャスト「ツキない話」を聞いており、実は遠くで少しずつ繋がっています。最終的にはそれぞれの話がひとつにまとまり、皆が前を向いて進んでいく話です。実際そんなに上手く繋がらないだろうとは思いつつも、読み終わった時にしみじみ「良かったなあ」と思ってしまうのでした。活字では声まで分からないのでオキナは別の人を予想していましたが、見事にハズレでした。
著者の「赤と青とエスキース」も一枚の絵をめぐって5つの物語が繋がっている話で、昨年も本屋大賞2位になっていました。こちらも静かに良さをかみしめた作品で、私の中では昨年の本屋大賞1位でした。

・「タイム・リープ」  高畑京一郎
小島監督のおすすめだったので読みました。主人公の翔香がどの時点からどの時点に移動したのかを各章に曜日が書いてあることで把握しやすかったです。物語が進むにつれて空白を埋めるように移動し、矛盾もなくピッタリと埋まっていくのは見事でした。翔香がタイムリープするようになった原因が性暴力を受けそうになった事だと後半で判明しましたが、その扱い方に安易さを感じてしまい、それまで爽やかSF恋愛もののラノベとして楽しみながら読んでいたのに一気にダメになってしまいました。表紙は今どきのテイストでしたが、1995年の作品の新装版ということだったので、時々感じた違和感にも納得しました。一冊にしても良さそうなボリュームでしたが上下巻になっていたのは、表紙を繋げたデザインにしたかったからなのかな。

・「罪と祈り」貫井徳郎 
「慟哭」と「愚行録」を読む前に読んでみました。主人公の父親が事故で亡くなるところから始まります。それには過去の未解決誘拐事件が関係しており、主人公とその親友(現代)と、それぞれの父親(過去)のパートを交互に描きながら真相に近づいて行きます。その誘拐事件は、地上げが原因で命を落とすことになってしまった知人のために世の中に復讐しようと父親たち幼馴染の仲間で計画されたものでした。ところが、無事に帰すつもりだった子供をアクシデントで死なせてしまったので、親友の父親が責任を取って自殺します。その後詳細が分かっていくものの、誘拐事件の動機や償い方があまりに浅はかで、何の共感もできないまま結末を迎えてしまいました。下町の人たちの繋がりを分かっていればもう少し共感できたのでしょうか。大喪の礼など昭和末期の情景は懐かしかったです。ラストで主人公と親友が10年間距離を置こうと会話するシーンはあまりの爽やかさに何だそれと思わずにはいられませんでした。でも10年後どうなるのか気になります。

・「チョウセンアサガオの咲く夏」柚月裕子
作家買いです。本のタイトルになっている「チョウセンアサガオの咲く夏」はイヤミスだったので、すべて同じような短編かと思っていたら、時代物があったり、他の長編作品のスピンオフがあったりとバラエティに富んでいました。上手くできているとは思いつつも物足りなさを感じました。

・「夏物語」川上未映子 
昨年読んだ「黄色い家」がとても良かったので他の作品も読んでいこうと思っていましたが、著者の作品は心にじわじわと圧力のようなものがかかってくるので元気な時にしか読み始めようと思えず、やっと読むことができました。小説家を目指して大阪から上京してきた夏子が主人公で、38歳になり自分の子供に会いたいと思い始めるものの、性的なことが苦痛なので精子提供での出産を考え始めます。第一部はあまり入り込めませんでしたが、第二部から面白くなってきました。夏子の大阪弁が重いテーマながらも全体の雰囲気を和らげていますが、投げかけられる問いに自分ならどう答えるのかを考えてしまいます。ラストに納得がいかない人もいるでしょうが、私はハッピーエンドだと思いました。

・「焔と雪 京都探偵物語」伊吹亜門
昨年秋ごろに新聞の本の紹介コーナーでおすすめされており、表紙の絵もなかなかいい感じだったので読みました。元警察官の鯉城と伯爵の血を引いている病弱な青年露木が二人で探偵事務所をやっています。アクティブな鯉城が調査をし、体は弱いが頭脳明晰な露木が見事に謎を解いていく訳ですが、あまりにキレイに解いていくので上手く行き過ぎでは?という印象がありました。とはいうものの、大正の京都の雰囲気も良く、鯉城と露木の関係ももういっそのことBLにしちゃえば良いのに〜と思って読み進めていたら、ずっと鯉城視点で進んでいた話が4話で露木視点になり、「え、え、え、えーーーーー!!!!!ウフフ☺️」という展開になりました。全部書きたいけれど我慢します。なるほど…上手くいきすぎていた展開にはきちんと理由があったのです。最後に本を閉じて表紙を見て、なるほど!露木が焔ですやん!!!と思いました。

・「有隣堂が作るYouTubeの世界」

↑このYouTube動画をたまたま見てから有隣堂さんのチャンネル登録しているので読みました。

このブッコローが面白いんですよね。ずっと社員さんかと思っていましたが、この本を読んで外部の方だと知りました。最初は社員だけで始めたものの上手くいかなかったので、現在のように外部のプロデューサーが加わり、ブッコローの中の人も呼んできて…という試行錯誤の様子が書かれています。面白かった回の撮影時のエピソードなど楽しめました。責任は取るから自由にやれという社長さん…頼もしい…。

・「誰か」宮部みゆき
宮部先生ならハズレはないだろうと、杉村三郎シリーズに手を出してしまいました。三郎くんは35歳サラリーマンで、今多コンツェルン会長の娘と結婚しています。その会長の運転手が自転車に衝突されて転倒し、亡くなってしまいます。彼の娘たちが父親の人生をまとめた本を作りたいというので、会長が元編集者だった娘婿の三郎くんに本作りを手伝うようにお願いするのですが、本の出版にたどりつくまでに犯人探しなどゴタゴタが起こります。最後は割とドロドロでした。もっとドロドロしてもいいけど。三郎さん、本当にいい人。娘婿選手権に出場したら優勝候補間違いなしです。

・「まいまいつぶろ」村上嵐 
友人が激推しだったのですが、普段は時代物は読まないので後回しにしていました。しかし、書店で「もう一度生まれても、私はこの身体でよい。そなたに会えるのならば。」という帯を見て、「なにそれエモい…」と急に読むことにしました。帯の文言の影響力たるや。「大どんでん返し!」としか書かない人よりも、この帯を書いた人がお給料をたくさんもらっていますようにと願わずにはいられません。
障害があって会話や筆談もできない家重と、その言葉を唯一理解できた大岡忠光との出会いから別れまでの物語です。タイトルの「まいまいつぶろ」とはカタツムリのことで、家重が歩いた後に尿の跡がずるずるとついていることからこのように馬鹿にされていました。忠光が家重の口となったことで意思疎通が可能になり、何やかんやと問題を乗り越え将軍になることができました。家重について調べたらそんな良いことばかりやってる訳でもなさそうでしたが、良い感じのエピソードでまとまっているので、最後は感極まって泣いてしまいました。時代物に慣れていなくても読みやすい気がします。

・「Survivor」Chuck Palahniuk
ファイトクラブが面白かったので読んでみました。最終章から始まり1章へ遡っていく構成なので、気を抜くと少し混乱してしまいました。いまいち楽しめないないまま終わってしまった感じです。

・「Shōgun」James Clavell
2月末からDisney+で真田広之さん主演のドラマが始まるので原作を読むことにしました。最初はオーディオブックで聴いていたのですがとにかく聞きにくい…。早々に電子書籍に切り替えて読みましたが、それでも読みにくかったです。すべて忠実に!!!とは思いませんが、固有名詞の微妙な間違いや、語尾につく”neh?”など、小さなストレスが積もり積もって、1000ページちょっとを読み終えた時はどっと疲れが出ました…。冗長に感じる部分が多かったですが、10話でまとめようとするとコンパクトになってちょうど良くなるのでは…と期待しています。真田さんがプロデューサーに加わっているので、日本人が見て何だこりゃ??となるようなものにはならないはず。

以上です。

まいまいつぶろ (幻冬舎単行本)

月の立つ林で

  1. いつの間に14冊も??すごい勢いですね。

    Shogunの予習もバッチリだし、2月下旬が楽しみですね。

    • 年末年始の休暇もあったので、比喩ではなく実際に積んであった本を読むことができました。
      洋書はShogunでかなり時間を取られてしまいまったので2月はもう少し読みたいです。
      配信開始が待ちきれません!